- 仕事を辞めた後、実はもらえるお金がいくつもある
- 【全体像】退職後にもらえるお金の種類一覧
- ①失業給付(基本手当):最もボリュームの大きいお金
- ②傷病手当金:病気・精神的な限界で退職した人ほど重要
- ③退職金:制度の有無を必ず確認する
- ④未払い賃金・残業代:請求できる権利は退職後も続く
- ⑤有給休暇の消化:退職前に使い切るのが基本
- ⑥社会保険料・住民税の負担軽減:見落としがちな「節約」のお金
- 退職理由別:もらえるお金の優先順位
- 退職後にお金をもらうための手続き期限まとめ
- 「退職代行を使って辞めた場合」のお金の話
- 退職前に確認しておきたい「お金に関するチェックリスト」
- よく混同される制度:受給の優先順位と注意事項
- まとめ:退職後にもらえるお金は「知っているかどうか」で決まる
仕事を辞めた後、実はもらえるお金がいくつもある
「退職したら収入がゼロになる」と思って、なかなか辞める決断ができない——そういう方は少なくありません。
ですが実際には、仕事を辞めた後に受け取れるお金や給付金は、思ったよりたくさんあります。制度を知っているかどうかで、受け取れる総額が数十万円〜百万円以上変わることも珍しくありません。
この記事では、退職後にもらえる可能性のあるお金を種類別に整理します。「自分はどれに当てはまるのか」を確認しながら読んでみてください。
この記事でわかること
- 退職後にもらえるお金の種類(失業給付・傷病手当・退職金・未払い賃金など)
- 自己都合退職と会社都合退職での受給額・期間の違い
- 手続きの期限と、やり忘れると損する落とし穴
- 会社が払ってくれていない可能性のあるお金の取り戻し方
【全体像】退職後にもらえるお金の種類一覧
まず全体を把握しておきましょう。退職後に受け取れる可能性のあるお金は、大きく以下の6種類に分かれます。
| 種類 | 主な支給元 | 対象者 | 目安金額 |
|---|---|---|---|
| ①失業給付(基本手当) | ハローワーク(雇用保険) | 雇用保険加入者 | 月13〜20万円前後(給与の50〜80%) |
| ②傷病手当金 | 健康保険組合 | 病気・怪我で退職した人 | 給与の約2/3(最長1年6ヶ月) |
| ③退職金 | 勤務先企業 | 退職金制度のある会社に勤めている人 | 数十万〜数百万円(勤続年数・会社規模による) |
| ④未払い賃金・残業代 | 勤務先企業(請求) | 未払いがある人 | ケースによる(数万〜数百万円) |
| ⑤住民税・社会保険料の猶予・免除 | 市区町村・年金機構 | 収入が激減した人 | 年数万〜数十万円の負担軽減 |
| ⑥有給休暇の買取・消化 | 勤務先企業 | 有給が残っている人 | 残日数×日給(数万〜数十万円) |
それぞれについて、条件・金額・手続き方法を順番に解説していきます。
①失業給付(基本手当):最もボリュームの大きいお金
退職後にもらえるお金の中で、多くの人が受け取れる可能性があり、かつ金額が大きいのが雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)です。
失業給付の基本的な仕組み
失業給付は、雇用保険に加入していた労働者が退職した後、次の仕事が見つかるまでの間に受け取れる給付金です。財源は雇用保険料(労使折半)で、いわば「掛け金を払ってきた保険」です。
受給の流れはざっくりと以下の通りです。
- 退職 → 会社から「離職票」を受け取る
- ハローワークに離職票を持参して求職申込み
- 7日間の待機期間(全員共通)
- 給付制限期間(自己都合退職の場合:原則2ヶ月)
- 認定日ごとにハローワークへ報告 → 給付を受ける
自己都合退職と会社都合退職の差は大きい
失業給付の受給条件・給付期間は、退職の理由によって大きく変わります。この差を知っておかないと、かなり損します。
| 項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職(解雇・倒産など) |
|---|---|---|
| 加入期間の条件 | 退職前2年間に12ヶ月以上 | 退職前1年間に6ヶ月以上 |
| 給付制限 | 原則2ヶ月(3回目以降は3ヶ月) | なし(待機7日後すぐ受給) |
| 所定給付日数(例:30歳未満) | 90〜150日 | 90〜240日 |
| 早く受給できるか | 申請から約3ヶ月後〜 | 申請から約2〜4週間後〜 |
⚠ 「自己都合」のままにしておくと損するケースがある
パワハラや長時間労働による体調不良、賃金未払いなど、会社側に問題がある場合は「特定受給資格者」または「特定理由離職者」と認定されることがあります。この場合は自己都合退職でも給付制限がなくなり、給付期間も延びる可能性があります。ハローワーク窓口で必ず申告しましょう(厚生労働省「雇用保険の被保険者の方へ」参照)。
受け取れる金額の目安
基本手当の日額は、「賃金日額(退職前6ヶ月の賃金の合計 ÷ 180)」をもとに、給付率50〜80%で計算されます(給与が低いほど給付率が高くなる仕組みです)。
例として、月給25万円(賞与なし)の人が自己都合退職した場合の概算:
- 賃金日額:250,000円 × 6ヶ月 ÷ 180日 ≒ 8,333円
- 給付率:約60%と仮定
- 基本手当日額:約5,000円
- 所定給付日数(勤続5年・30歳未満):90日
- 受給総額の目安:約45万円
※上記はあくまで概算です。正確な金額はハローワークの窓口または厚生労働省の「雇用保険の給付について」でシミュレーションできます。
失業給付を受けるための注意点
失業給付には、「積極的に求職活動をしていること」が条件になります。すでに次の仕事が決まっている状態では受給できません。また、アルバイトなどで収入が発生した場合は申告が必要で、申告を怠ると不正受給となりペナルティが生じます。
ポイントをまとめると:
- 離職票は退職から10日〜2週間ほどで会社から郵送されるのが一般的
- 受給申請の有効期間は離職翌日から1年間(過ぎると受給資格を失う)
- 病気・怪我で求職活動できない場合は「受給期間延長」の申請が可能
②傷病手当金:病気・精神的な限界で退職した人ほど重要
パワハラや過重労働による体調不良、うつ病などのメンタルヘルスの悪化で退職を余儀なくされた場合に、大きな役割を果たすのが傷病手当金です。
傷病手当金は「健康保険」の給付であり、雇用保険(失業給付)とは別の制度です。在職中に受給していた場合、退職後も一定条件のもとで受け取り続けることができます。
傷病手当金の基本条件
- 業務外の病気・怪我で働けない状態にある
- 連続3日以上仕事を休んでいる(待機期間)
- 休んでいる期間中に給与が支払われていない、または給与が傷病手当金より少ない
- 健康保険に加入している(国民健康保険は対象外)
退職後も受給できる条件
退職後に傷病手当金を継続して受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 退職時点で継続して1年以上の健康保険加入歴がある
- 退職日の時点で、すでに傷病手当金を受給中または受給条件を満たしている
退職日に「出勤」してはいけない
退職後の傷病手当金継続給付において、よく起こるミスが「最終出勤日に出勤してしまうこと」です。退職日(離職日)に出勤すると、その日が「労務に服した日」とみなされ、退職後の継続給付を受けられなくなるケースがあります。有給消化で退職する場合なども含めて、担当の健康保険組合や協会けんぽに事前確認しておくことを強くおすすめします。
傷病手当金の受給額と期間
支給額は、支給開始日以前の継続した12ヶ月の標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2です。支給期間は支給開始日から通算して最長1年6ヶ月(2022年1月からは「通算」方式に変更。途中で就労した期間はカウントされない)。
例として、月給28万円(標準報酬月額28万円)の場合:
- 28万円 ÷ 30日 × 2/3 ≒ 1日あたり約6,222円
- 月額換算:約18.7万円
- 最長1年6ヶ月受け取れた場合の総額:約336万円
失業給付と傷病手当金は原則として同時受給できません。ただし、傷病手当金を受け取りながら、「受給期間延長の申請」をハローワークに行うことで、体調が回復した後に失業給付を受け取ることができます。体調不良での退職の場合、まず傷病手当金を優先して受給しながら、並行してハローワークに相談しておくのが一般的な流れです。
③退職金:制度の有無を必ず確認する
退職金は法律上の義務ではありません。就業規則や退職金規程によって支給の有無・金額が決まります。つまり「うちの会社、退職金あるんだっけ?」という確認を、退職前にしておく必要があります。
退職金制度の確認方法
- 就業規則の「退職金規程」を確認する(社内イントラや総務部に問い合わせ)
- 労働契約書・雇用契約書の記載内容を確認する
- 中小企業の場合は「中小企業退職金共済(中退共)」に加入していることもある
中退共(独立行政法人 勤労者退職金共済機構が運営)に加入している場合は、退職後に本人が直接機構へ請求する形になります。会社を経由せずに受け取れるのが特徴です。
自己都合退職は退職金が減額されることが多い
退職金規程に「自己都合退職の場合は支給率○%」と定められていることがよくあります。勤続年数と退職理由によって大きく変わるため、就業規則での事前確認が必須です。
一般的な傾向として:
- 会社都合退職:支給率100%
- 自己都合退職(勤続10年以上):60〜80%程度
- 自己都合退職(勤続5年未満):30〜50%程度(支給なしの場合も)
※上記はあくまでも一般的な傾向であり、会社によって異なります。
退職金の税金:受取り方で手取りが変わる
退職金は「退職所得」として、給与所得とは分離して課税されます。「退職所得控除」という大きな控除があるため、勤続年数が長いほど課税される部分が少なくなります。受取り時には「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すると、適切な源泉徴収が行われます。提出を忘れると一律20.42%で源泉徴収され、後から確定申告で取り戻す必要があります。
④未払い賃金・残業代:請求できる権利は退職後も続く
「退職したんだから、もう終わり」と思ってしまいがちですが、退職後であっても未払いの賃金や残業代を請求する権利は残っています。
賃金請求権の時効
労働基準法の改正(2020年4月施行)により、賃金請求権の時効が3年に延長されました(改正前は2年)。退職から3年以内であれば、未払い賃金・残業代を遡って請求できます。
根拠:労働基準法 第115条(この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間行わない場合においては、時効によって消滅する。ただし、当分の間、3年とする。)
請求できる可能性があるもの
- 残業代(固定残業代で実際の残業が超過している場合)
- 深夜・休日割増賃金の未払い
- 有給休暇を取らせてもらえなかった場合の賃金相当額
- 給与計算のミス・天引きの不正(社会保険料以外の控除は本来違法)
- 試用期間中に最低賃金を下回っていた場合の差額
請求の手順と相談先
まず自分で計算・記録をまとめ、会社に内容証明で請求するのが一般的な流れです。会社が応じない場合は以下の窓口に相談できます。
| 相談先 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| 労働基準監督署 | 申告による行政指導。使用者への是正勧告。 | 無料 |
| 労働局のあっせん | 個別労働紛争解決制度。調停による解決を目指す。 | 無料 |
| 弁護士(労働問題専門) | 交渉・訴訟まで対応。成功報酬型も多い。 | 着手金+成功報酬(案件により異なる) |
| 法テラス(法律扶助) | 収入が一定以下の場合、弁護士費用の立替制度あり。 | 収入要件あり・立替後分割返済 |
退職代行と未払い残業代の請求
退職代行サービスを利用して会社を辞めた場合でも、退職後に残業代などを請求することは可能です。ただし、交渉が必要な場合は弁護士法人運営の退職代行か、別途弁護士に依頼する必要があります。民間の退職代行業者(株式会社が運営)は、法律上「交渉」を行う権限がなく(弁護士法第72条・非弁行為の禁止)、退職の意思伝達のみが業務範囲です。
⑤有給休暇の消化:退職前に使い切るのが基本
退職時に残っている有給休暇は、退職日までに消化できます。これは法律上の権利であり、会社が拒否することは原則できません(労働基準法第39条)。
有給消化で受け取れるお金の計算
有給を消化した日数分、通常通りの賃金が支払われます。
例:月給25万円・残有給20日の場合
- 日給換算:250,000円 ÷ 22日(月の所定労働日数の目安) ≒ 11,364円
- 20日分:約22.7万円相当の賃金
有給を消化してから退職する場合、退職届を提出してから実際の退職日まで期間を空けることで対応します。民法第627条では「退職の意思を示してから2週間で退職できる」と定められていますが、有給が多く残っている場合は2週間より前に申し出るほうが現実的です。
「有給を使わせてもらえない」と言われたら
退職時の有給消化申請に対して会社が拒否できる根拠は基本的にありません。「繁忙期だから」「引き継ぎが終わるまでダメ」という主張は法的に通用しません。労働基準監督署への相談や、退職代行の活用(弁護士法人か労働組合型)で対応できるケースが多いです。
⑥社会保険料・住民税の負担軽減:見落としがちな「節約」のお金
退職後に支出が増えることの一つが、社会保険料の自己負担です。在職中は会社と折半だった健康保険料が、退職後は全額自己負担になります。ただし、この負担を軽減するための制度がいくつかあります。
健康保険の選択肢
| 選択肢 | 特徴 | 期間・条件 |
|---|---|---|
| 任意継続被保険者 | 在職中の健康保険をそのまま継続。保険料は全額自己負担になるが、以前の保険料の2倍以内に抑えられることも。 | 退職後20日以内に申請。最長2年間。 |
| 国民健康保険 | 市区町村が運営。収入に応じた保険料(退職翌年の収入が低ければ安くなる)。会社都合退職の場合は軽減措置あり。 | 退職後14日以内に市区町村窓口へ。 |
| 家族の扶養に入る | 配偶者・親などが健康保険加入者であれば、扶養に入ると保険料負担ゼロ。 | 年収130万円(60歳以上・障害者は180万円)未満の見込みが条件。 |
国民健康保険料の軽減措置(会社都合退職の場合)
解雇・倒産など会社都合で退職した場合、国民健康保険料が大幅に軽減されることがあります。具体的には、前年の給与所得を30/100とみなして保険料を計算するため、保険料が7割程度安くなります(非自発的失業者に対する軽減措置)。
この軽減を受けるには市区町村の窓口に申請が必要です。「雇用保険受給資格者証」が必要書類になるので、ハローワークへの手続きと合わせて進めると効率的です。
住民税の注意点
退職後に見落としがちなのが住民税の後払いです。住民税は前年の所得に対して翌年課税されるため、収入がなくなった年の翌年も住民税の請求が来ます。退職後にまとまった税額の通知書が送られてきて驚く方が多いので、あらかじめ心構えをしておきましょう。
住民税の支払いが困難な場合、市区町村に「猶予」や「分割払い」の相談ができます。収入が著しく減少した場合は、減額・免除の制度を設けている自治体もあるため、お住まいの市区町村の税務課に相談してみてください。
国民年金保険料の免除・猶予
退職後に国民年金へ切り替わった場合、収入が大幅に減少したことを理由に保険料の免除・納付猶予の申請ができます。
- 全額免除:前年所得(扶養人数による)が一定額以下の場合
- 納付猶予制度(50歳未満限定)
- 学生納付特例
免除を受けた期間も年金の受給資格期間に算入されます(ただし将来受け取る年金額は減額)。免除期間中でも追納(10年以内)すれば満額に近づけることができます。日本年金機構のサイトまたは最寄りの年金事務所で相談・申請が可能です。
退職理由別:もらえるお金の優先順位
「自分のケースではどれが当てはまる?」という疑問に答えるため、よくある退職パターン別に優先度を整理します。
ケース①:パワハラ・ハラスメントで追い込まれて辞める場合
まず確認すること
- 体調に異常があれば先に受診し、傷病手当金の要件を満たしているか確認
- 「特定受給資格者」として認定されると失業給付の給付制限がなくなる(ハラスメントが証明できると会社都合相当になる場合あり)
- パワハラが業務起因と認められれば労災申請も可能(労災保険の休業補償給付:給付基礎日額の60%+特別支給金20%)
ケース②:精神的・肉体的に限界で、すぐに辞めたい場合
まず確認すること
- 退職日に出勤しない(傷病手当金の継続受給のため)
- 退職後すぐに傷病手当金を申請する(申請は健康保険組合へ)
- ハローワークに「受給期間延長」を申請(体調回復後に失業給付を受けられるよう保全する)
ケース③:残業代・給料が支払われていない状態で辞める場合
まず確認すること
- タイムカード・シフト表・業務メールなどの証拠を退職前に保全する
- 未払い賃金が一定基準以上あれば「未払賃金立替払制度」(独立行政法人 労働者健康安全機構)が利用できる場合もある
- 弁護士または労働基準監督署への相談を退職と並行して進める
ケース④:次の仕事が決まっている・すぐ再就職できる場合
まず確認すること
- 失業給付は「再就職手当」として一括受給できることがある(給付残日数が多いほど有利)
- 退職金・有給消化の確認を退職前に済ませる
- 「再就職手当」は、失業給付の支給残日数が3分の1以上残っており、受給資格決定日の1ヶ月後以降に就職した場合などが対象
退職後にお金をもらうための手続き期限まとめ
どんなにもらえる権利があっても、手続きを忘れたり期限を過ぎたりすると受け取れなくなります。期限が重要なものを整理しておきます。
| 手続き | 期限 | 窓口 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 失業給付(受給申請) | 離職日翌日から1年以内 | ハローワーク | 離職票が届き次第できるだけ早く |
| 受給期間延長(傷病等) | 離職日翌日から1ヶ月以内 | ハローワーク | 病気・怪我・妊娠・育児等が対象 |
| 健康保険の切替(任意継続) | 退職日翌日から20日以内 | 各健康保険組合 | 期限厳守(1日でも過ぎると不可) |
| 国民健康保険への加入 | 退職日翌日から14日以内 | 市区町村窓口 | 期限後でも加入自体は可。ただし保険料は遡及請求される |
| 国民年金への切替 | 退職日翌日から14日以内 | 市区町村窓口または年金事務所 | 未加入期間は未納扱い |
| 傷病手当金 | 支給事由発生から2年以内 | 健康保険組合・協会けんぽ | 月ごとに申請するのが一般的 |
| 未払い賃金請求(自分で請求) | 支払い日から3年以内 | 労働基準監督署・弁護士 | 労働基準法第115条(当分の間3年) |
| 国民年金保険料の免除申請 | 申請した月の前月から2年1ヶ月前 | 市区町村窓口・年金事務所 | 失業特例は前年所得を除外して審査 |
「退職代行を使って辞めた場合」のお金の話
退職代行を利用して会社を辞めた場合でも、上記の給付金・手当を受け取る権利はすべて保持されます。退職という事実は変わらないからです。ただし、退職代行の「運営形態」によって、退職後のサポート範囲が違います。
運営形態ごとの退職後サポートの差
| 運営形態 | 退職の意思伝達 | 有給交渉・残業代請求 | 訴訟・損害賠償対応 |
|---|---|---|---|
| 弁護士法人 | ◎ | ◎(法的請求が可能) | ◎(弁護士として対応可能) |
| 労働組合 | ◎ | ○(団体交渉権に基づく交渉は可能) | ×(訴訟は対応不可) |
| 民間企業(株式会社) | ○ | ×(交渉は非弁行為にあたり違法) | × |
残業代の未払いがあるケースや、退職後に会社から損害賠償を請求されるリスクがある状況では、弁護士法人の退職代行を選ぶのが安全です。民間の退職代行業者が「交渉可能」と謳っている場合は、弁護士法第72条の非弁行為に該当する可能性があるため、利用には慎重さが求められます。
2025年10月には、大手民間退職代行業者「モームリ」が弁護士法違反(非弁行為)の疑いで家宅捜索を受けたことが報道されており、業界の問題として注視が必要な状況です。
退職代行の利用を検討している方は、まず運営形態を確認した上で選んでください。
▼退職代行サービスの比較・選び方はこちら
退職代行おすすめランキング|運営形態別に徹底比較
退職前に確認しておきたい「お金に関するチェックリスト」
退職の意思が固まったら、辞める前に以下を確認しておきましょう。後から「あれを確認しておけばよかった」と後悔しないための準備です。
退職前チェックリスト
- □ 残っている有給休暇の日数を確認した
- □ 就業規則の退職金規程を確認した
- □ 健康保険は任意継続・国保・扶養のどれにするか決めた
- □ 雇用保険(失業給付)の加入歴が12ヶ月以上あるか確認した
- □ タイムカードや残業時間の記録をバックアップした
- □ 給与明細・源泉徴収票のデジタルコピーを保存した
- □ 傷病手当金の対象になるかを事前に確認した(体調不良がある場合)
- □ 退職理由を「自己都合・会社都合」どちらで処理されるか確認した
- □ 退職後の連絡先・書類の郵送先を会社に伝えた
- □ 退職代行を使う場合、運営形態(弁護士・労組・民間)を確認した
よく混同される制度:受給の優先順位と注意事項
傷病手当金と失業給付は同時にもらえない
この2つは同時受給ができません。病気・怪我が続いている間は傷病手当金を優先し、体調が回復して就労可能になったタイミングでハローワークに求職申込みをして失業給付に切り替えるのが一般的な流れです。
再就職手当は意外と大きい
失業給付の受給中に再就職が決まった場合、残日数に応じて「再就職手当」が一括支給されます。
- 給付残日数が3分の2以上残っている場合:残日数 × 基本手当日額 × 70%
- 給付残日数が3分の1以上残っている場合:残日数 × 基本手当日額 × 60%
早く再就職するほど受け取れる再就職手当が多くなる仕組みです(厚生労働省「再就職手当について」参照)。
労災認定されると別の給付が受けられる
業務が原因のうつ病・過労・怪我などは、労災申請によって「療養補償給付」「休業補償給付」「障害補償給付」などを受けられる可能性があります。労災保険は使用者が全額負担しており、申請者(労働者)の費用負担はありません。労働基準監督署へ申請書を提出します。
業務起因性の立証が必要になるため、職場の状況を示す証拠(業務指示のメール・シフト表・診断書等)は退職前に確保しておくことが重要です。
まとめ:退職後にもらえるお金は「知っているかどうか」で決まる
仕事を辞めた後にもらえるお金を改めてまとめます。
| 給付・手当 | 特に重要なポイント |
|---|---|
| ①失業給付 | 退職理由の認定が重要。パワハラ・賃金未払い等は「特定受給資格者」になれる可能性あり。 |
| ②傷病手当金 | 退職日に出勤しないことが重要。最長1年6ヶ月、給与の2/3が支給される。 |
| ③退職金 | 制度の有無・支給率を就業規則で事前確認。中退共加入の場合は機構へ直接請求。 |
| ④未払い賃金 | 退職後3年以内に請求可能。証拠は退職前に確保しておく。 |
| ⑤社会保険料の軽減 | 会社都合退職なら国民健康保険料が7割減になることも。申請が必要。 |
| ⑥有給消化 | 退職時の有給取得は権利。会社が拒否した場合は労基署へ。 |
どの給付も「知っていて申請した人だけ」が受け取れるものです。退職を決意する前後に、ひとつひとつ確認する時間を作ってみてください。
もし会社への連絡・交渉が難しい状況であれば(有給の申請すら怖い、上司に何を言われるかわからない、という状態)、退職代行サービスの活用も選択肢のひとつです。その際は、有給交渉や残業代の話が出る可能性があるなら、弁護士法人または労働組合が運営するサービスを選ぶことを強くおすすめします。
退職代行サービスを選ぶ前に確認すること
- 運営元が「弁護士法人」「労働組合」「株式会社(民間)」のどれか
- 有給消化の交渉に対応しているか(労組・弁護士のみが合法)
- 残業代・退職金の請求にも対応できるか(弁護士のみが合法)
- 料金・対応範囲・返金保証の有無
▼サービス比較はこちら:退職代行おすすめ比較ランキング
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。法改正・制度変更により内容が変わる場合があります。給付金の受給条件や金額については、ハローワーク・健康保険組合・年金事務所など各担当窓口にご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスを提供するものではありません。
