「ボーナスをもらってから辞めよう」「年度末まで待とう」──そう思いながら、また1か月が過ぎた。
仕事を辞めるタイミングを何月にすれば損しないか気になるのは当然です。ただ、タイミングを探しているうちに体や心が先に限界を迎えてしまうケースも少なくありません。
この記事では、賞与・有給・社会保険・失業給付の4軸で「損しない退職月」を整理したうえで、「それでも今すぐ辞めた方がいいケース」についても正直にお伝えします。
※本記事の情報は2026年4月時点のものです。法律・制度の改正や各社サービス内容の変更により、最新情報と異なる場合があります。退職に関する重要な判断は、社会保険労務士・弁護士など専門家への相談も併せてご検討ください。
「何月に辞めるのがベスト?」先に結論を伝えます
結論から言うと、「絶対にこの月がベスト」という正解はありません。ただ、以下の条件が重なる月が経済的には有利になる傾向があります。
📌 経済的に有利になりやすい退職タイミングの条件
- 賞与(ボーナス)の支給月直後
- 有給休暇の残日数をすべて消化できる退職日設定
- 退職日が月末ではなく月の途中(社会保険料の節約)
- 雇用保険の受給資格を満たす勤続期間を超えている
多くの会社では、夏のボーナスが7月、冬のボーナスが12月に支給されます。そのため7月下旬〜8月・12月下旬〜1月が「賞与をもらってから辞める」タイミングとして選ばれやすい時期です。
ただし、これはあくまで「損しない」観点での話。健康や精神状態が限界に近い場合は、タイミングよりも今すぐ動くことを優先すべきです(詳しくは後述)。
損しない退職月を決める4つの軸
退職タイミングを考えるうえで意識すべき軸は4つあります。それぞれ確認していきましょう。
①賞与(ボーナス)支給後を狙う
賞与は多くの会社で「支給日に在籍していること」が受給条件として規定されています。支給日の前日に退職すると、査定期間中どれだけ働いていても支払われないケースがほとんどです。
支給月とスケジュールの目安:
| 支給時期 | 一般的な支給月 | 狙い目の退職月 |
|---|---|---|
| 夏季ボーナス | 6月下旬〜7月中旬 | 7月下旬〜8月 |
| 冬季ボーナス | 11月下旬〜12月中旬 | 12月下旬〜1月 |
注意点として、支給後すぐに退職の意思を示すと「返還請求」をめぐるトラブルになるケースもあります。賞与の返還義務については就業規則を確認し、不安な場合は退職代行サービス(弁護士法人・労働組合)への相談も選択肢になります。
②有給休暇を退職前に消化する
労働基準法第39条に基づき、有給休暇は原則として労働者が請求した日に取得できます(使用者には時季変更権がありますが、退職前は変更先がないため事実上行使できません)。
退職日の設定を工夫するだけで、有給残日数分の給与を受け取りながら職場に出勤しない期間をつくることができます。
💡 計算例
有給残20日・日給1.5万円の場合 → 退職前に20日消化 = 30万円分の給与を受け取れる計算になります。
有給消化を希望したのに会社側が拒否したり、嫌がらせを受けたりするケースでは、労働組合型・弁護士法人型の退職代行が団体交渉や法的措置で対応できます。
③社会保険料が発生しないタイミングを選ぶ
健康保険・厚生年金は「退職した月」の取り扱いで保険料の負担が変わります。
| 退職日 | その月の社会保険料 | 備考 |
|---|---|---|
| 月末(例:4月30日) | 4月分の社会保険料が発生 | 翌月が資格喪失日(5月1日)のため |
| 月の途中(例:4月29日) | 4月分の社会保険料は発生しない | 資格喪失日が4月29日になるため |
ただし月の途中退職の場合、退職翌日から国民健康保険または任意継続に加入する手続きが必要になります。トータルの負担を比較したうえで退職日を設定しましょう。
④失業給付(雇用保険)の受給開始を早める
雇用保険(失業給付)は、退職理由によって給付開始までの期間が大きく異なります。
| 退職理由 | 給付制限 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|---|
| 自己都合退職 | 原則2か月(※2024年10月改正後、5年間に2回まで給付制限なし) | 退職日前2年間に12か月以上 |
| 会社都合退職・特定理由離職者(パワハラ等) | なし(7日の待機後すぐに受給) | 退職日前1年間に6か月以上 |
パワハラや長時間労働が原因の退職は、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として認定されれば、自己都合扱いよりも有利な条件で給付を受けられる場合があります。認定には離職票の記載内容が重要なので、退職理由の記録(メール・チャット履歴・労働時間の記録など)を保存しておきましょう。
月別「退職タイミング」早見表
上記4軸を踏まえた月別の損得ポイントをまとめました。あくまで一般的な傾向であり、会社の就業規則・個人の状況によって異なります。
| 月 | 賞与 | その他の注意点 | 総合評価 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 冬ボーナス後→◎ | 新年度スタート前。転職市場は動き始めの時期 | ★★★★ |
| 2月 | — | 3月末退職希望なら2月中に退職届を提出(1か月前通知が一般的) | ★★★ |
| 3月 | — | 年度末。引き継ぎが重なり精神的負荷が高い。引き止めも多い | ★★ |
| 4月 | — | 新入社員が入る時期。OJT担当になると退職言い出しにくくなる | ★★ |
| 5月 | — | GW明けは退職相談が増える時期。転職市場も活発 | ★★★ |
| 6月 | 夏ボーナス査定月。支給前退職は損の可能性 | ボーナス支給を確認してから退職日を設定したい | ★★ |
| 7月 | 夏ボーナス後→◎ | ボーナス支給直後の退職が集中する時期 | ★★★★ |
| 8月 | 夏ボーナス後→◎ | 転職活動も夏採用が活発。有給消化と並行しやすい | ★★★★ |
| 9月 | — | 秋採用の転職市場が始まる。下半期スタートで引き止めに遭いやすい | ★★★ |
| 10月 | — | 転職市場は秋が活発。中途採用の求人が増える | ★★★ |
| 11月 | 冬ボーナス査定月。支給前退職は損の可能性 | 12月の支給を確認してから動くか判断が必要 | ★★ |
| 12月 | 冬ボーナス後→◎ | 年末で区切りをつけやすい。退職申し出のタイミングとしても自然 | ★★★★ |
※総合評価は「賞与・転職市場・手続きのしやすさ」を加味した目安です。個人の状況・業種・会社の賞与規定によって大きく異なります。
タイミングを待ちすぎることの本当のコスト
「ボーナス後まで頑張ろう」は合理的な判断です。しかし、タイミングを待つことそのものにもコストがあるという視点が抜けていないか確認してください。
⚠️ 「待ちすぎ」で起きうること
- うつ病・適応障害への移行:メンタル不調を放置するとうつ病と診断されるケースがあります。回復に要する時間・医療費は、ボーナス1回分をはるかに上回ることがあります。
- 「辞めるに辞められない」状態の固定化:長く在籍するほど会社への罪悪感が増し、退職を言い出しにくくなるループに入りやすい。
- 年齢によるキャリア機会の損失:転職市場は20代後半〜30代前半が最も動きやすいとされています。タイミングを追いすぎて転職の好機を逃すことも。
- 失業給付の算定基礎賃金への影響:休職・給与カットが長期化した場合、雇用保険の受給額が下がる可能性があります。
厚生労働省が公表している「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活に強いストレスを感じている労働者は約82.7%(※)に上ります。「みんな我慢している」は事実ですが、我慢することで回復が難しくなるラインを超えないよう注意が必要です。
※出典:厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」より。数値は参照時点のもの。
「健康を壊してからの退職」より「健康なうちの退職」の方が長期的には有利です。 体や心のシグナルを無視してタイミングを探し続けることは、経済的な計算が合わなくなるリスクをはらんでいます。
「退職を切り出せない」なら退職代行を検討する理由
タイミングを把握していても、「それを上司に伝えること」が最大の壁になっている人は多いです。
特に以下のような状況では、退職の意思を自分で伝えることが精神的・状況的に難しい場合があります。
- パワハラ・モラハラが横行しており、退職を切り出したら報復が怖い
- 以前も退職を申し出て強く引き止められた経験がある
- うつ病・適応障害の診断を受けており、上司と話すこと自体が苦痛
- 退職届を出したが受理されていない
- 「損害賠償を請求する」と脅されている
こうした状況であれば、退職代行サービスを使って本人の代わりに退職の意思を伝えてもらうことが一つの現実的な選択肢です。
ただし、退職代行サービスの「運営形態」によってできることの範囲が大きく異なります。次のセクションで整理します。
退職代行の運営形態と正直な使い分け
退職代行サービスは大きく3つの運営形態に分かれており、できることの範囲が法律上明確に異なります。この違いを理解せずに選ぶと、「交渉してほしかったのに対応できません」「追加費用が発生した」といったトラブルにつながります。
| 運営形態 | できること | できないこと | 費用目安 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|
| 弁護士法人 | 退職の意思伝達・有給交渉・残業代/退職金の請求・損害賠償対応・訴訟対応 | —(法律上の制限なし) | 5〜10万円程度 | 弁護士法人ガイア、弁護士法人みやび |
| 労働組合 | 退職の意思伝達・有給消化などの団体交渉 | 残業代・退職金の請求、訴訟対応 | 2〜3万円程度 | 即ヤメ、男の退職代行、わたしNEXT、オイトマ、ガーディアン、Jobs |
| 民間企業 | 退職の意思伝達のみ | 有給・残業代などの交渉(弁護士法上の非弁行為に該当) | 1〜2万円程度 | ニコイチ、辞スルなど |
⚠️ 民間業者に関する重要な注意点
民間企業は弁護士法上、退職の意思を伝えること以外の「交渉」を行うと非弁行為(弁護士法第72条違反)にあたります。一部の民間業者が「交渉可能」と謳っているケースがありますが、実態は法的に問題のある行為に該当する場合があります。2025年10月には大手民間退職代行業者が弁護士法違反の疑いで家宅捜索を受けた事例も報じられています。民間業者を選ぶ際は、「できることの範囲」を公式サイトで必ず確認し、交渉業務が含まれているか疑わしい場合は労働組合型または弁護士法人型を選ぶことをおすすめします。
ケース別の使い分け目安
- 「とにかく退職の意思を伝えてほしい。交渉は不要。費用を抑えたい」→ 労働組合型(費用と対応範囲のバランスがよい)
- 「有給を全部消化したい/残業代を請求したい」→ 労働組合型または弁護士法人型
- 「損害賠償を請求すると脅されている/訴訟リスクがある」→ 弁護士法人型(一択)
- 「費用を最小限に抑えたい。単純に辞めるだけでよい」→ 民間企業型(ただし交渉が必要になった場合は対応不可)
退職代行各社の詳細な料金・対応範囲については、以下の記事もあわせてご参照ください。
月別・退職タイミングの詳細解説
早見表では伝えきれなかった「各月ならではの注意点」を掘り下げます。自分の退職希望月に該当するセクションを参考にしてください。
1月退職:年明け直後は動きやすいが手続きが集中する
冬のボーナス支給(多くは11月下旬〜12月中旬)を受け取ったあとの1月退職は、金銭面では最も合理的な選択肢のひとつです。年末年始という区切りを使って退職を申し出やすく、本人も気持ちをリセットしやすいタイミングです。
一方、注意したいのが年末調整と確定申告の兼ね合いです。1月に退職した場合、その年(1月分)の源泉徴収は会社で年末調整されないため、翌年に自分で確定申告する必要があります。転職先が決まっていれば転職先でまとめて年末調整できますが、しばらく無職になる場合は確定申告の準備を早めに始めておきましょう。
また1月は転職市場でいうと「求人が出始める時期」です。企業の採用計画が新年度に向けて動き始めるため、求人数は2〜3月にかけて増加します。退職後すぐに転職活動をスタートするには好タイミングです。
2〜3月退職:年度末の引き止め・引き継ぎ圧力に注意
3月末退職を希望するなら、一般的に1〜2か月前の申し出が必要なため、1月下旬〜2月中には退職の意思を伝えることになります。年度末という区切りは本人も会社も納得しやすい反面、「もう少し待ってほしい」「後任が決まるまで」という引き止めに遭いやすい時期でもあります。
3月は新入社員の入社前最後の繁忙期にあたる業種も多く、引き継ぎ業務が重なって精神的な負荷が高くなりがちです。退職を決意しているなら、引き継ぎ資料を早めに整備しておくと交渉をスムーズに進めやすくなります。
なお3月退職の場合、4月1日以降は国民健康保険への切り替えまたは任意継続の手続きが必要です。4月から保険料が上がるケースもあるため、事前に市区町村の窓口や健康保険組合に金額を確認しておくことをおすすめします。
4〜5月退職:新年度スタート後・GW明けが現実的
4月は新入社員の受け入れや部署異動など会社全体が慌ただしい時期です。OJT担当に任命されてしまうと「今辞めるのは申し訳ない」という心理的なブレーキがかかりやすくなります。退職の意思がある場合は4月に入る前、もしくは4月の落ち着いた時期に早めに伝えるのが得策です。
GW明けの5月は、長期休暇中に「仕事に戻りたくない」と感じて退職相談が増える時期として知られています。冷静な判断をするためにも、GW前から情報収集を始めておくと「勢いだけで動く」リスクを減らせます。
6〜8月退職:夏のボーナス後が最もポピュラーな退職シーズン
夏季ボーナスは多くの会社で6月下旬〜7月中旬に支給されます。支給後の7〜8月は退職者が集中する時期であり、転職エージェントや求人サイトも「夏採用」として積極的に求人を出すため、転職活動と退職手続きを並行しやすい環境が整っています。
6月退職を検討している場合はボーナス支給日を必ず確認してください。支給日の前日に退職すると、査定対象期間をすべて働いていてもボーナスが支払われないケースがほとんどです。「支給日に在籍」が受給の大原則です。
8月は有給消化と夏季休暇が重なりやすく、実質的な出勤日数を抑えながらスムーズに退職できることも多いです。残有給を計算して退職日を逆算すると、7月末には出勤最終日を迎えられる設計にできる場合もあります。
9〜10月退職:秋採用が活発・下半期の節目
9月・10月は転職市場の「秋採用シーズン」にあたり、特にIT・コンサル・金融など中途採用に積極的な業界では求人が増加します。3月・4月の春採用と並んで転職しやすい時期とされており、退職と転職活動を同時に進めるには適しています。
会社側からすると下半期の始まりにあたるため、「下期が始まったばかりなのに」という引き止めに遭うこともあります。業務の引き継ぎ計画を具体的に示すことが円滑に進める鍵になります。
11〜12月退職:冬のボーナス後・年内に区切りをつける
冬ボーナスの支給は多くの会社で11月下旬〜12月中旬です。11月退職を検討している場合は、ボーナス支給日の確認が最優先事項です。「査定は終わっているから支払われるはず」と思っていても、支給日に在籍していなければ受け取れないケースがほとんどです。
12月末日退職(月末退職)の場合、1月分の社会保険料が12月給与から追加で差し引かれる点に注意が必要です。12月29日や30日退職にするだけで1か月分の保険料節約になる場合があるため、退職日の設定は慎重に行いましょう。
転職市場から見た「退職タイミング」の季節性
退職して次の仕事を探す場合、転職市場の繁忙期・閑散期を把握しておくと動きやすくなります。
| 時期 | 転職市場の特徴 | 求職者側の動きやすさ |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 春採用に向けて求人が増加。3月・4月入社を想定した募集が活発になる。IT・メーカー・金融で特に顕著 | ◎ |
| 4〜5月 | 年度始めで採用が一段落する時期。GW明けから求人が再び動き始める | △〜○ |
| 6〜8月 | 夏採用として中途求人が増える。ボーナス後退職者が多く、採用側も補充需要が高まる | ◎ |
| 9〜10月 | 秋採用シーズン。春・夏に採用しきれなかったポジションの補充や、10月〜翌3月入社を想定した求人が活発 | ◎ |
| 11〜12月 | 年末に向けて求人数が絞られる傾向。ただし年明けの採用に向けた選考は裏で動いていることが多い | △ |
転職活動の期間は平均3〜6か月程度かかるとされています。「辞めてから探す」より「在職中に探す」方が選択肢は広がりますが、精神的・体力的に限界に近い状況では在職しながらの転職活動自体が困難になります。無理に在職を続けるより、まず退職して体調を整えたうえで転職活動をスタートする選択肢も現実的です。
転職活動の進め方:在職中 vs 退職後
在職中に転職活動する場合
収入が安定しているため精神的余裕がある。選考辞退のリスクを取りやすい。ただし有給消化や面接日程の調整が制約になる場合も。
退職後に転職活動する場合
面接日程・条件交渉に柔軟に対応できる。ただし収入が途絶えるため、雇用保険の給付スケジュールや貯蓄状況を事前に把握しておくことが不可欠。一般的に3〜6か月分の生活費を確保してから退職することが推奨される。
退職後にやること:手続きチェックリスト
退職後は複数の公的手続きが発生します。期限を過ぎると給付を受けられなくなったり、無保険期間が生じたりするため、退職前から流れを把握しておきましょう。
退職直後〜1か月以内にやること
| 手続き | 期限の目安 | 窓口・方法 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| 健康保険の切り替え | 退職翌日から14日以内 | 市区町村窓口(国民健康保険)または健康保険組合(任意継続) | 健康保険資格喪失証明書、マイナンバーカードなど |
| 国民年金への切り替え | 退職翌日から14日以内 | 市区町村窓口またはマイナポータル | 年金手帳(または基礎年金番号通知書)、離職票など |
| 雇用保険(失業給付)の申請 | 離職票受け取り後、できるだけ早く | 居住地管轄のハローワーク | 離職票1・2、マイナンバーカード、写真、印鑑、通帳 |
| 住民税の支払い確認 | 退職月による | 会社の給与担当または市区町村 | 退職後は普通徴収に切り替わり、まとめて請求されることがある |
住民税の「まとめ請求」に注意
住民税は前年の所得に対して翌年6月〜翌々年5月に課税されます。退職すると会社での天引き(特別徴収)が終わり、残りの税額が普通徴収として一括または分割請求されます。特に6〜12月退職の場合、退職後に数十万円規模の請求が届くケースもあるため、事前に概算を把握しておくことをおすすめします。
退職後1〜3か月以内にやること
| 手続き | タイミング | 備考 |
|---|---|---|
| ハローワークでの求職活動・認定日 | 申請後、約3〜4週間ごとに認定日 | 認定日に求職活動実績が必要。原則として月2回以上の求職活動 |
| 確定申告(該当者のみ) | 翌年2月16日〜3月15日 | 年の途中退職で年末調整されない場合、源泉徴収税の還付を受けられる可能性がある |
| iDeCo・企業型DCの手続き | 退職後できるだけ早く | 転職先がない場合は個人型iDeCoへの移換手続きが必要。放置すると運用停止・手数料だけかかる状態になる |
| 転職活動・内定承諾 | 状況に応じて | 雇用保険受給中に就職が決まった場合、就業促進手当(再就職手当)が受け取れる可能性がある |
再就職手当(就業促進手当)とは
雇用保険の所定給付日数の3分の1以上を残して再就職した場合に支給される手当です。受給資格があれば失業給付の残日数に応じた金額が一括で支給されます。「早く就職するほど得をする」仕組みになっているため、転職先が早く決まった場合は必ずハローワークに申請しましょう。
退職タイミングに関するよくある質問(Q&A)
Q1. 退職届はいつまでに出せばいいですか?
民法上は退職希望日の2週間前までに申し出れば足ります(民法第627条)。ただし多くの会社の就業規則では「1か月前」「2か月前」などと定められていることが多く、就業規則の規定も確認が必要です。就業規則と民法のどちらが優先されるかについては見解が分かれますが、円満退職を目指すなら就業規則の期限に従っておくほうが無難です。どうしても急ぎで退職したい事情がある場合は、会社と個別に相談するか、弁護士や労働組合型の退職代行への相談を検討してください。
Q2. 「損害賠償を請求する」と言われた場合はどうすればいいですか?
退職を申し出た際に「損害賠償を請求する」と脅すケースがありますが、退職の意思表示だけで損害賠償が認められることは法的に極めてまれです。実際に損害賠償が認められるには、労働者に故意または重大な過失による具体的な損害があった場合に限られます。不当な脅しに対しては記録(録音・メール)を残し、弁護士法人型の退職代行または労働基準監督署へ相談することをおすすめします。
Q3. 有給休暇を消化させてもらえない場合はどうすればいいですか?
有給休暇は労働者の権利であり、退職前の消化を会社側が拒否することは原則として認められません。使用者には時季変更権(労働基準法第39条5項)がありますが、退職前は変更先がなくなるため実質的に行使できません。それでも会社が拒否したり嫌がらせをしたりする場合は、労働基準監督署に相談するか、交渉力を持つ労働組合型・弁護士法人型の退職代行を活用することで解決できるケースがあります。
Q4. 退職後しばらく仕事をしない予定です。国民健康保険と任意継続、どちらが得ですか?
一概にどちらがよいとは言えませんが、以下を目安に比較してください。
- 任意継続:在職中の保険料の約2倍(会社負担分がなくなるため)。ただし退職前の標準報酬月額が高かった場合は、国民健康保険よりも安くなることがある。加入できるのは退職後2年間。
- 国民健康保険:前年の所得をもとに算出。退職後に収入が大幅に下がる場合、翌年からは保険料も下がる。失業中は保険料の減額・免除申請が可能なケースもある。
具体的な金額は在職中の給与水準・居住地によって異なります。市区町村の窓口や健康保険組合に「任意継続の場合の保険料」を問い合わせ、国民健康保険の概算と比較してから判断するのが確実です。
Q5. 転職先が決まる前に退職しても大丈夫ですか?
転職先が未定の状態での退職は、経済的なリスクを伴います。ただし、精神的・体力的に限界に達している場合は「在職しながらの転職活動」が困難なケースもあり、一概に「決まってから辞めるべき」とは言えません。目安として、生活費3〜6か月分の貯蓄がある・雇用保険の受給資格がある・体調を整えれば転職活動に集中できる、という条件が揃っていれば退職してから就活を進める選択肢も現実的です。
Q6. 会社に行けない状態でも退職できますか?
精神的・体力的な理由で出勤できない場合でも退職は可能です。退職届は郵送(内容証明郵便を推奨)で会社に送付することができます。また医師から診断書が出ている場合は診断書を添付することで、会社側も状況を把握しやすくなります。直接話すことが困難な状況であれば、退職代行サービスを利用することで本人が会社と連絡を取ることなく退職手続きを進めることもできます。
Q7. ボーナスをもらってすぐ退職すると返還を求められますか?
ボーナスの返還義務は就業規則の規定による部分が大きいです。多くの企業では返還規定を設けていないため、支給後すぐに退職しても返還を求められることはありません。ただし一部の企業では「支給日から○か月以内に退職した場合は返還する」という規定を設けているケースがあるため、就業規則を事前に確認しておくことが重要です。返還請求を受けた場合も、その規定が有効かどうかについては弁護士への相談をおすすめします。
今日から動くための3ステップ
「退職したい月」が決まったら、次は具体的なアクションに移りましょう。
📋 退職前の3ステップ
STEP 1:就業規則で「退職の申し出期限」を確認する
多くの会社では退職の1か月〜2か月前に申し出ることが規定されています。民法上は2週間前の通知で足りますが(民法第627条)、就業規則に別の規定がある場合はそちらも確認しておきましょう。
STEP 2:有給残日数・賞与支給日を確認する
有給残日数は給与明細や勤怠システムで確認できます。賞与支給日は就業規則または前年の支給実績から確認しましょう。
STEP 3:退職の意思を伝える方法を決める(自分で/退職代行を利用)
自分で退職を申し出ることが難しい状況であれば、退職代行サービスへの相談(多くは無料)から始めることも選択肢の一つです。相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではありません。
退職のタイミングを何月にするかは、賞与・有給・社会保険・失業給付の4軸で考えるのが基本です。ただし、「タイミングを完璧にする」よりも「健康な状態で退職する」を優先すべき場面もあることは、忘れないでいただければと思います。
もし退職の意思を自分で伝えることが難しい状況にある場合は、退職代行サービスの無料相談を活用してみてください。相談だけなら費用はかかりません。
【参考情報】
・厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」
・民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
・労働基準法第39条(年次有給休暇)
・弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
・雇用保険法(失業給付の受給要件・給付制限)
・各退職代行サービス公式サイト(2026年4月時点で調査)

