「退職を伝えたら、有給は捨ててくれと言われた」「有給申請を出しても返事がなく、ずっと無視されている」「もう限界なのに、有給すら取れないまま辞めることになるの?」──そんな状況で、この記事にたどり着いた方へ。
先に結論をお伝えします。退職代行を使えば、有給消化しながら退職できる可能性は十分にあります。ただし、選ぶサービスの「運営形態」によって対応できる範囲が大きく変わります。「有給を消化したいのに、依頼した業者では交渉できなかった」というトラブルは実際に起きています。
この記事では、有給消化と退職を同時に実現するための正確な方法・業者の選び方・よくある不安への回答を、法律の根拠を交えながら詳しく解説します。読み終えた頃には「自分のケースで何をすべきか」が明確になるはずです。
そもそも有給を使わせてくれないのは違法なのか
結論から言えば、原則として違法です。ただし「原則として」には少し説明が必要なので、順を追って整理します。
労働基準法第39条が定める「有給休暇」の基本ルール
年次有給休暇(以下「有給」)の取得権は、労働基準法第39条によって保障されています。週5日勤務・6ヶ月以上継続勤務・所定労働日の8割以上出勤という要件を満たした労働者は、勤続年数に応じた有給日数が法律上付与されます。
【付与される有給日数の目安(労働基準法第39条)】
| 継続勤務年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
※出典:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
会社側に認められる「時季変更権」とその限界
使用者(会社)には「時季変更権」という権利が認められています。これは、「その日に有給を取られると業務に著しい支障が出る」場合に限り、別の日に変更を求めることができる権利です(労働基準法第39条第5項)。
しかし、この時季変更権には大きな制約があります。「別の日に取得させる」という前提がある権利であり、有給を完全に使わせないことを正当化する根拠にはなりません。加えて、退職が決まっている状況では、変更先の日程が存在しないため、時季変更権そのものが行使できない状態になります。
つまり、「退職前に有給を消化したい」という申請に対して会社が拒否することは、法的根拠のない対応である可能性が高いのです。「うちの会社では有給消化の慣例がない」「引き継ぎがあるから無理」などの説明は、法律上の根拠にはなりません。
有給取得を理由とした不利益な取り扱いも禁止されています
労働基準法第136条では、有給休暇を取得したことを理由として、賃金の減額・賞与の不支給・評価の引き下げなどの不利益な取り扱いを行うことを禁じています。「有給を使ったら査定に響く」という職場環境は、法律に違反している可能性があります。
「有給を使わせてくれない」よくある会社側の言い訳と、その実態
現場レベルでは、さまざまな言い訳で有給取得を妨害されるケースが見られます。よくあるパターンを整理しておきます。
| 会社側の言い訳 | 法律上の実態 |
|---|---|
| 「引き継ぎが終わるまで有給は無理」 | 引き継ぎ義務は法的に存在しない。有給消化の拒否理由にならない |
| 「うちの会社では有給消化の慣例がない」 | 慣例は法律に優先しない。権利行使を阻害する慣行は違法となりうる |
| 「退職するんだから有給は諦めてくれ」 | 退職することは有給取得権の消滅理由にならない |
| 「忙しい時期だから後にしてほしい」 | 時季変更権は「別の日に取らせる」ための権利。消滅させる権限はない |
| 「有給の代わりに手当を出す(買取)」 | 買取は原則禁止。退職時残日数についてのみ例外的に認められる場合がある |
こうした言い訳に従って有給を諦める必要は、法律上まったくありません。ただし、自分一人でこれを会社に主張し続けることが精神的に難しい状況にある方も多いでしょう。そのときの選択肢の一つが、退職代行の活用です。
退職代行で有給消化できるのか──運営形態別に正確に整理する
退職代行サービスには3つの運営形態があります。有給消化の「交渉」ができるかどうかは、この運営形態によって根本的に異なります。ここを曖昧にしたまま依頼すると、「有給消化してほしいと頼んだのに対応してもらえなかった」という事態が起きます。
| 運営形態 | 有給消化の交渉 | その他できること | 代表的なサービス |
|---|---|---|---|
| 弁護士法人 | ◎ 可能 | 残業代・退職金の法的請求、損害賠償対応、訴訟対応まで一括 | 弁護士法人ガイア、弁護士法人みやび |
| 労働組合 | ○ 可能(団体交渉) | 退職の意思伝達・有給消化などの団体交渉 | 男の退職代行、わたしNEXT、ガーディアン、Jobs、即ヤメ、オイトマ |
| 民間企業 | × 不可(非弁行為) | 退職の意思伝達のみ。交渉は一切できない | ニコイチ、辞スルなど |
労働組合型が有給交渉できる理由
労働組合は、労働組合法に基づいて使用者(会社)に対して「団体交渉」を求めることができます。使用者側は正当な理由なく団体交渉を拒否することができず(不当労働行為として禁止されています)、これが退職代行における有給消化交渉の法的根拠になっています。
つまり、退職代行サービスが労働組合として運営されていれば、「有給消化を申請する」という交渉を会社側に対して正式に行うことができます。会社がこれを拒否すれば、不当労働行為として労働委員会への申し立ても視野に入ります。個人の申請とは異なり、会社側が無視しにくい形で交渉が進むのが、労働組合型の強みです。
弁護士法人型が最も対応範囲が広い理由
弁護士は弁護士法に基づき、法律事務全般を扱うことができます。有給消化の交渉はもちろん、未払い残業代・退職金の法的請求、損害賠償への対応、最悪の場合の訴訟対応まで一括して委任できます。
費用は労働組合型より高めになりますが、複雑な案件や「会社から何らかの請求をされそう」という懸念がある場合は、弁護士法人型を選ぶことで精神的な安心感も大きく変わります。また、弁護士事務所が介入することで、会社側の対応が一変するケースもあります。
民間企業型の「交渉可能」という宣伝には注意が必要
重要な注意事項:民間業者による「交渉」は非弁行為の疑いがある
民間企業が「有給交渉可能」「条件交渉OK」などと謳っている場合、弁護士法第72条が定める「非弁行為」に該当する可能性があります。弁護士資格を持たない者が報酬を得て法律事務(交渉を含む)を行うことは、同条により禁止されています。
この問題は業界でも現実の問題として顕在化しており、2025年10月には退職代行大手の「モームリ」が弁護士法違反の疑いで家宅捜索を受けた事例が各種報道で伝えられました。民間業者を選ぶ場合は、この点を十分に理解した上で判断することが必要です。
有給消化を目的とするなら、民間企業型は選択肢から外すのが無難です。費用が安く見えても、対応できる範囲の違いが致命的になることがあります。
「有給を使わせてくれない」状況別:退職代行は実際に有効か
有給消化を巡るトラブルには複数のパターンがあります。それぞれのケースで退職代行がどう機能するかを、具体的に整理します。
ケース①:退職を申し出たら「有給消化は無理」と言われた
最もよくあるパターンです。「辞めます」と伝えた瞬間に「有給は諦めてほしい」「引き継ぎに使ってくれ」と言われるケースです。
前述のとおり、退職が決まっている状況では会社側の時季変更権は実質的に行使できません。「引き継ぎを優先してほしい」という要望には応える義務はなく、有給消化と引き継ぎを両立させる義務も法的には存在しません。引き継ぎは労働者の努力義務的な慣行であり、それを理由に有給を放棄させることはできません。
退職代行(労働組合型・弁護士法人型)を使えば、「有給消化を申請し、消化期間終了後に退職する」という形を会社に対して正式に通達することができます。多くのケースでは、プロが介入することで交渉がスムーズに進むことが多いです(状況によって異なります。100%の保証ではありません)。
ケース②:有給申請をしても無視・握り潰しが続いている
申請書を提出しても返事がない、口頭で申請しても「後で」「忙しい」と言われ続けて何ヶ月も経過している──そういう職場環境では、自分一人で権利を主張し続けることは精神的に非常に消耗します。
この場合、退職代行(労働組合型・弁護士法人型)を使うことで、「個人の申請」から「労働組合としての団体交渉」へと格上げされます。使用者は正当な理由なく団体交渉を拒否できないため、これまで無視されていた申請が突然動き始めることがあります。
また、退職代行業者を通じることで、あなた自身が直接会社と交渉・対話する必要がなくなります。精神的に消耗しきった状態で無理に交渉し続けるよりも、プロに任せるほうが結果的に有給消化できる可能性が高まることもあります。
ケース③:「有給の代わりに手当を出す」と買取を提案されている
「有給消化は難しいが、その分の給与相当額を別途支払う」という提案をする会社もあります。有給の買取は、在職中の通常の有給については原則として禁止されています(労働基準法第39条の趣旨に反する)。ただし、退職時の残日数の買取については、就業規則や労使協定によって例外的に認められる場合があります。
重要なのは、消化するか買取を受け入れるかはあなたが選べるという点です。会社から「買取で対応する」と言われたとしても、あなたが「消化を希望する」と主張する権利があります。退職代行を使って「消化を希望する」という意思を正式に伝え、交渉することが可能です。
ケース④:パワハラを受けており、直接交渉が精神的に不可能な状態
パワハラや職場いじめを受けているケースでは、退職の申し出自体が困難で、ましてや有給消化の交渉など到底できないという状況もあります。「また怒鳴られる」「もっと嫌がらせが激しくなる」という恐怖感から、権利の主張すらできないというのは非常によくある悩みです。
このようなケースこそ、退職代行を活用するメリットが最大化されます。退職代行を使えば、あなたが直接会社と接触する必要が一切なくなります。依頼後は業者が全て対応するため、上司の顔を見ることも声を聞くことも不要になります。
パワハラの証拠(メモ・録音・医療機関の診断書等)がある場合は、弁護士法人型を選ぶことで、慰謝料請求・損害賠償請求の検討も同時に進めることができます。
ケース⑤:有給消化に加えて未払い残業代・退職金も取り戻したい
有給消化だけでなく、長年の未払い残業代や退職金が支払われていないケースもあります。労働組合型の退職代行でも「交渉」はできますが、実際に法的請求(内容証明郵便・少額訴訟・労働審判など)を進めるためには弁護士の権限が必要です。
こうしたケースでは弁護士法人型を選ぶことで、退職代行から始まり、未払い分の回収まで一貫して委任することができます。費用は高くなりますが、回収できる金額によってはトータルでプラスになる可能性もあります。弁護士事務所によっては成果報酬型(回収額の一部を費用とする)を採用しているところもあるため、相談時に確認してみてください。
有給消化しながら退職するまでの実際の流れ
退職代行(労働組合型・弁護士法人型)を使って有給消化しながら退職する場合の、一般的な流れを時系列で説明します。
- 退職代行サービスに相談・申し込みを行う
多くのサービスはLINEやWebフォームから24時間相談受付を行っています。申し込みと費用の支払いを完了させると、担当者がアサインされます。相談だけなら無料のサービスが多いため、まず問い合わせるだけでも状況が整理されます。 - 希望条件を詳しく伝える
有給残日数・退職希望日・有給消化の希望・返してほしい書類の種類など、担当者に詳しく伝えます。これが交渉の土台になります。有給残日数が多いほど、消化できた際のメリットも大きくなります。 - 退職代行業者が会社に連絡を入れる
依頼翌日(または当日)に、退職代行業者から会社の担当部署(直属上司・人事部門)へ連絡が入ります。退職の意思と、有給消化の申請を正式に伝えます。この時点から、あなたが直接会社と連絡を取る必要はなくなります。 - 有給消化について会社と交渉する(労働組合・弁護士法人型)
会社側から「有給消化は難しい」などの回答があった場合、労働組合または弁護士として交渉を続けます。この段階では、あなたは何もしなくてOKです。進捗は担当者から都度報告されます。 - 有給消化期間に入る
会社側が有給消化を認めた時点で、消化期間がスタートします。この期間はもう出社しなくてよく、給与もこれまでどおり支払われます。在職中という扱いのため、健康保険なども引き続き適用されます。 - 退職日を迎えて完了
有給消化期間が終わった日が退職日になります。その後、離職票・源泉徴収票などの書類が郵送されてきます(あらかじめ郵送対応を業者を通じて会社に依頼しておくとスムーズです)。
依頼前に有給残日数を確認しておくとスムーズ
退職代行に依頼する前に、自分の有給残日数を把握しておきましょう。給与明細・就業規則・社内の勤怠システムなどで確認できます。残日数が多いほど、有給消化期間が長くなり、退職代行を使う経済的メリットも大きくなります。残日数が10日以上あるケースでは、消化できた場合の給与換算額が退職代行費用を大きく上回ることも珍しくありません。
退職代行に相談する前に確認しておきたいこと
複数の退職代行サービスを比較検討する際に、確認しておくべきポイントをまとめます。同じ「退職代行」という名前でも、サービス内容は大きく異なります。申し込む前にこれらを整理しておくと、選択ミスを防げます。
| 確認ポイント | なぜ重要か | 確認方法 |
|---|---|---|
| 運営形態(弁護士/労働組合/民間) | 有給交渉できるかどうかの根本的な違い | 公式サイトの「運営者情報」「会社概要」を確認 |
| 有給消化交渉への対応実績 | 対応できるかどうかを事前に確認できる | 無料相談時に直接質問する |
| 返金保証の有無・条件 | 万が一退職できなかった場合の保証 | 公式サイトの「よくある質問」「料金ページ」 |
| 相談が無料かどうか | 費用をかけずに状況を整理できる | LINEまたはWebから問い合わせ |
| 即日対応・土日祝の対応可否 | 明日から出社したくない場合に重要 | 公式サイトの対応時間・問い合わせ時に確認 |
| 後払い・分割払いの対応 | 費用面で不安がある場合の選択肢 | 公式サイトの料金・決済方法のページ |
| 書類対応(離職票・証明書等)の範囲 | 退職後の手続きに必要な書類が受け取れるか | 無料相談時に確認 |
「自分で交渉すればいいのでは?」という疑問への正直な答え
退職代行を検討するとき、「わざわざお金を払って頼まなくても、自分で言えばいいのでは」と思う方もいるでしょう。実際に、自分で会社に有給消化を申請して認められるケースもあります。
ただ、現実問題として、この記事にたどり着いた方の多くはすでに「自分で言ってみたが断られた」「言い出せる雰囲気ではない」「怖くて動けない」という状況にあるのではないでしょうか。
退職代行を使うことが「甘え」かどうか、という議論は本質的ではありません。権利を行使するために使える手段を使うのは、何ら恥ずかしいことではありません。弁護士や税理士に依頼するのと同じことです。むしろ、精神的に消耗した状態で無理に交渉し続けることで、健康を損ない、結果的に何も取れないまま終わるリスクのほうが大きいとも言えます。
退職代行を使っても損害賠償を請求されることはあるか
退職代行の利用を検討する際に多い不安のひとつが「会社から損害賠償を請求されるのでは?」というものです。
結論としては、適法な退職手続きを踏んでいる限り、損害賠償が認められる可能性は極めて低いです。民法第627条では、期間の定めのない雇用契約は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了すると定められています。退職代行はこの手続きの代行であり、不法行為には当たりません。
【民法 第627条(抜粋)】
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。
※出典:e-Gov法令検索
ただし、重要な機密情報を持ち出した・故意に業務に損害を与えたなど、退職手続き以外の問題がある場合は別です。退職自体が損害賠償の対象になることは、法律の原則に照らしても考えにくいですが、心配な場合は弁護士法人型の退職代行を選ぶことで、万が一の際にも対応してもらえる体制が整います。
退職後の手続き──有給消化中・退職日以降にやるべきこと
退職代行で退職が決まった後も、いくつかの手続きが必要になります。有給消化期間中・退職日以降にやるべきことをまとめておきます。
退職後に受け取る書類を事前に確認しておく
退職後に会社から送られてくる書類があります。退職代行業者を通じて郵送対応をあらかじめ依頼しておくと安心です。受け取れなかった場合の対応先も確認しておきましょう。
| 書類名 | 用途 | もらえない場合 |
|---|---|---|
| 離職票 | 失業給付の申請に必要 | ハローワークに相談。会社に発行義務がある |
| 源泉徴収票 | 確定申告・次の会社での年末調整に必要 | 税務署に相談することで対応可能 |
| 雇用保険被保険者証 | 次の就職先での雇用保険加入に必要 | ハローワークで再発行可能 |
| 健康保険資格喪失証明書 | 国民健康保険への切り替えに必要 | 会社または協会けんぽに問い合わせ |
健康保険・年金・住民税の切り替えを忘れずに
退職後は社会保険の手続きが必要になります。有給消化期間中はまだ在職中の扱いのため手続きは不要ですが、実際の退職日(有給消化が終わった日)以降は速やかに対応が必要です。
- 健康保険:国民健康保険への加入(退職日から14日以内に市区町村窓口で手続き)、または任意継続(退職後20日以内に申請)、または家族の扶養に入る、のいずれかを選択
- 年金:国民年金への切り替え(退職後14日以内に市区町村窓口で手続き)。収入がない期間は免除・猶予申請も可能
- 住民税:退職後は原則として自分で納付が必要。退職月によって処理が異なるため、市区町村窓口またはお住まいの自治体に確認を
- 失業給付:ハローワークへの求職申し込みと離職票の提出。自己都合退職の場合は2ヶ月の給付制限期間がある(会社都合の場合は即受給可能)
有給消化期間中は「在職中」なので、退職後の手続きはその後でOK
有給消化期間中はまだ在職中の扱いになるため、健康保険や年金は引き続き会社の社会保険が適用されます。手続きが必要になるのは実際の退職日(有給消化終了日)以降です。慌てずに、退職日が確定してから準備を始めましょう。
よくある不安と疑問に答える
Q. 退職代行を使った後、会社から直接連絡が来たらどうする?
退職代行に依頼した際、「本人への直接連絡は業者を通じてほしい」と会社側に伝えてもらえます。それでも直接電話やメールが来た場合は、「退職代行業者を通じてご対応ください」と短く伝えてかまいません。それ以上の対応をする必要はありません。ほとんどのケースでは、業者が介入した時点で会社側からの直接連絡は減っていきます。万が一、脅迫的な内容の連絡が来たり、自宅に押しかけてくるなど悪質な対応があった場合は、弁護士法人型であれば法的対応も含めて動いてもらうことができます。
Q. 有給が全日数消化できなかったらどうなる?
交渉の結果、全有給消化ではなく一部のみ認められるケースや、消化期間の短縮を求められるケースもあります。残ってしまった有給について、会社が買い取る法的義務はありません(ただし就業規則・労使協定で定めがある場合は別)。あらかじめ「全日数の消化を最低希望ラインとする」「半分以上消化できれば許容範囲」など、自分の希望ラインを明確にしておくと交渉がスムーズになります。退職代行業者に相談時にこの点を伝えておくとよいでしょう。
Q. 家族や親にバレることはある?
退職代行業者が家族に連絡することはありません。退職代行を使ったこと自体が家族に伝わるルートは基本的に存在しないため、この点は心配不要です。ただし、有給消化期間中の外出や行動について、同居の家族から不審に思われることはあるかもしれません。家庭内の状況に応じて、どこまで説明するかは個人の判断に委ねられます。
Q. 試用期間中でも有給消化と退職は可能か?
試用期間中の退職は原則として可能です(民法627条の適用あり。ただし14日前の申し出が必要)。ただし、試用期間中は有給付与の要件(継続勤務6ヶ月・出勤率8割以上)を満たしていないことがほとんどです。そのため、試用期間中の場合は有給自体がまだ付与されていないケースが多く、有給消化よりも「スムーズに退職できるか」に焦点を当てた方が現実的です。
Q. パートやアルバイトでも有給消化しながら退職できる?
パートタイムやアルバイトでも、一定の条件(6ヶ月以上の継続勤務・所定労働日の8割以上出勤)を満たしていれば有給は法律上付与されます。正社員と同様に有給消化する権利があります。ただし、週の所定労働日数に応じて付与日数が変わる「比例付与」の仕組みが適用されます。退職代行を使って有給消化することも可能で、雇用形態による制限はありません。
Q. 即日退職(当日退職)は有給消化と両立できる?
「即日退職」という言葉には2つの意味があります。「その日から出社しない(業者が連絡を入れる)」という意味での即日対応と、「その日付で退職扱いになる」という意味での即日退職です。前者は退職代行であれば多くの場合対応可能ですが、後者(退職日を当日にする)は会社側の合意が必要です。有給消化を希望する場合は、「今日から出社しない→有給消化期間→退職日」という流れになるのが一般的です。退職日は有給消化期間が終わった後になるため、「退職日=今日」にはなりませんが、「今日から一切会社に行かない」ということは実現できます。
Q. 有給を消化している間、会社から呼び出しや業務連絡が来ることはある?
有給消化中は休暇中の扱いのため、会社から業務を行うよう指示されることは原則として認められません。ただし、現実には電話やメッセージで連絡が来るケースもゼロではありません。その場合も「有給消化中であり対応できない旨を退職代行業者を通じて伝えてほしい」と担当者に依頼することができます。自分で対応する義務はありません。
あなたの状況別・退職代行の選び方まとめ
ここまでの内容を踏まえて、状況別にどの退職代行を選ぶべきかを整理します。
| あなたの状況 | おすすめの運営形態 | 理由 |
|---|---|---|
| 有給消化だけできればOK | 労働組合型 | 費用を抑えつつ交渉権限あり。一般的なケースに対応 |
| 未払い残業代・退職金も取り戻したい | 弁護士法人型 | 法的請求まで一貫して対応できる唯一の運営形態 |
| パワハラ被害があり、慰謝料請求も検討 | 弁護士法人型 | 損害賠償・訴訟対応まで委任できる |
| 会社から損害賠償を請求されそうで怖い | 弁護士法人型 | 防御と交渉を一括対応。精神的な安心感も大きい |
| 費用をできるだけ抑えたい | 労働組合型 | 2万円台から対応可能なサービスも。有給交渉に対応 |
| 退職の意思伝達だけでよい(有給交渉は不要) | 民間企業型も選択肢(注意あり) | 最安値での利用も可能だが、交渉は一切できない点に注意 |
2026年4月時点の料金目安(各公式サイト参照)
- 弁護士法人型:33,000円〜55,000円前後(弁護士法人みやび・弁護士法人ガイア等)
- 労働組合型:19,800円〜29,800円前後(ガーディアン・Jobs・男の退職代行・わたしNEXT等)
- 民間企業型:10,000円〜25,000円前後(ニコイチ等)
※料金は変動する場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
有給を一日も無駄にしないために──今すぐできること
有給休暇は給与と同様に、あなたが働いて得た権利です。「会社が使わせてくれない」からといって諦める必要はありませんし、その権利を主張するために退職代行を使うことは、何らおかしなことでも甘えでもありません。
今すぐできることは3つです。
- 自分の有給残日数を確認する(給与明細・社内システム・就業規則等)
- 労働組合型または弁護士法人型の退職代行に無料相談をしてみる(相談だけでも状況が整理される)
- 相談時に「有給消化を希望している」「現在の有給残日数」を伝える(交渉の材料になる)
無料相談は、LINE・Webフォームから気軽にできます。相談したからといって、必ず依頼しなければいけないわけではありません。「自分のケースで本当に有給消化できるのか」「いくらかかるのか」を確認するだけでも、不安が大きく和らぐことがあります。
有給消化を希望するなら、必ず労働組合型か弁護士法人型を選ぶこと──この一点さえ押さえれば、業者選びの大きな失敗は防げます。
この記事のまとめ
- 有給を使わせてくれないのは原則として違法(労働基準法第39条・第136条)
- 退職が決まっている状況では、会社の時季変更権は実質的に行使できない
- 退職代行で有給消化交渉ができるのは「労働組合型」と「弁護士法人型」のみ
- 民間企業型は退職の意思伝達のみ。交渉は非弁行為にあたる可能性があり注意が必要
- 未払い残業代・パワハラ慰謝料・訴訟対応が必要なら弁護士法人型一択
- まずは無料相談から始めれば、費用なしで自分のケースの見通しを確認できる
- 退職後は健康保険・年金・住民税の切り替えを退職日以降速やかに行う
※本記事の情報は2026年4月時点のものです。各退職代行サービスの料金・対応範囲は変更される場合があります。法律情報は一般的な解説であり、個別の法律相談ではありません。具体的な案件については、弁護士や労働基準監督署などの専門機関にご相談ください。労働基準法・民法等の条文はe-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)にてご確認いただけます。

