退職願の理由、何を書く?ケース別の具体例と注意点

悩んでいる時に確認したいコラム情報

退職願を書こうとして、「理由欄に何を書けばいいんだろう」と手が止まった経験はありませんか。

本音を書くべきか、無難にまとめるべきか、そもそも「一身上の都合」だけで通るのか——迷うポイントは意外と多いものです。

この記事では、退職願の理由欄の正しい書き方と、転職・体調不良・家庭の事情など状況別の具体的な文例を紹介します。また、記事の後半では「自分では言い出せない」「引き止められて困っている」という場合の選択肢についても解説します。

📋 この記事で分かること

  • 退職願の理由欄は「一身上の都合」だけでOKかどうか
  • ケース別(転職・体調不良・家庭の事情・ハラスメントなど)の文例
  • 本音と建前の使い分け方と注意点
  • 引き止めにあった場合・自分では伝えられない場合の対処法
退職願を書くイメージ
退職願の理由欄、何を書けばいいか迷う方は多い

退職願の「理由」は、基本的に「一身上の都合」だけでOK

最初に結論をお伝えします。

退職願(退職届)の理由欄は、「一身上の都合により」の一文で十分です。

これは慣習的なマナーであるだけでなく、法的にも問題ありません。民法第627条により、労働者は2週間前までに退職の意思を伝えれば自由に退職できます。退職理由の詳細を使用者に説明する義務は、法律上存在しません。

⚖️ 法律上の根拠

民法第627条第1項:「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」

※就業規則で「1ヶ月前に申し出ること」と定められているケースも多いですが、法的拘束力については解釈が分かれます。いずれにせよ、退職理由の詳細開示を義務づける法律はありません。

「一身上の都合」が使えないケース

一点だけ注意が必要です。退職理由が「会社都合」(リストラ・事業所閉鎖・賃金未払いなど)に該当する場合は、「一身上の都合」と書いてはいけません。

会社都合退職は、雇用保険の失業給付で自己都合より有利な扱いを受けられます(給付制限期間なし、所定給付日数が長い場合あり)。会社から「一身上の都合にしてほしい」と言われても、実態が会社都合であれば応じる必要はありません。

退職の種類 理由欄の書き方 雇用保険への影響
自己都合退職
転職・体調・家庭の事情など
一身上の都合により 給付制限あり(原則2ヶ月)
会社都合退職
解雇・リストラ・給与未払いなど
会社都合による退職(詳細は協議の上で) 給付制限なし・日数が有利な場合あり
特定理由離職者
病気・DV・ハラスメント等
やむを得ない事情による退職(ハローワーク認定が必要) 一定条件下で会社都合に準じた扱い

退職理由を具体的に書くべきケースとは

「一身上の都合」で問題ないとはいえ、状況によっては少し具体的に書いたほうがスムーズなこともあります。

具体的に書いたほうがよいケース

  • 医師から就労不能の診断を受けている場合:診断書とセットで提出すると、引き止めへの対応が楽になります。
  • 配偶者の転勤・介護が必要な場合:客観的に証明しやすく、会社側も納得しやすい理由です。
  • 特定理由離職者としてハローワークに認定してもらいたい場合:ハラスメントや病気など、会社都合に準じた扱いを受けるには、ハローワークへの申請時に具体的な事情の説明が必要です(退職願ではなく、別途書類での申請になります)。

具体的に書かないほうがよいケース

  • 転職先が決まっている場合:競合他社への転職の場合、トラブルになることがあります。「一身上の都合」にとどめましょう。
  • 上司・同僚への不満が本音の場合:退職願に書くと、在職中の関係が悪化したり、引き止めの口実にされる可能性があります。
  • 会社の方針・待遇への不満が本音の場合:書き方によっては感情的に受け取られ、退職交渉が長引く原因になります。

ケース別|退職願の理由の文例

状況に合わせて使える文例を紹介します。いずれも「一身上の都合」を基本にしつつ、必要に応じて理由を添える形式です。

退職理由の文例まとめ
状況別に使える退職理由の文例

① 転職・キャリアアップが理由のとき

最もシンプルなケースです。転職先の社名や業種は書く必要はありません。

▶ 文例①:シンプルにまとめる場合

「このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」

▶ 文例②:キャリアの方向性を示す場合(転職先を特定しない)

「このたび、自己のキャリアアップのため、一身上の都合により退職いたしたく、令和〇年〇月〇日をもってご退職のお願いを申し上げます。」

※ 転職先が同業他社の場合、詳細を記載すると競業避止義務(就業規則による)の問題が生じる可能性があります。「一身上の都合」のみで十分です。

② 体調不良・療養が理由のとき

医師から就労不能・休養が必要と判断されているケースでは、そのことを一文添えると引き止めへの対応がしやすくなります。

▶ 文例③:療養が必要な場合

「このたび、健康上の理由により療養に専念する必要が生じたため、誠に勝手ながら令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」

▶ 文例④:診断書を添付する場合

「このたび、医師の指示により長期療養が必要との診断を受けたため、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。なお、診断書を添付いたします。」

ポイント:うつ病・適応障害などのメンタルヘルス疾患も「体調不良」として同様に扱えます。病名を書く必要はありません。「医師から療養を要する旨の診断を受けた」という事実を記載すれば十分です。

③ 家庭の事情(介護・育児・配偶者の転勤)が理由のとき

家庭の事情は、会社側が比較的理解を示しやすい退職理由です。

▶ 文例⑤:介護が必要な場合

「このたび、家族の介護に専念する必要が生じたため、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」

▶ 文例⑥:配偶者の転勤帯同の場合

「このたび、配偶者の転勤に伴い転居することとなりましたため、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」

④ ハラスメント・職場環境が理由のとき(書き方に注意)

パワハラ・セクハラが退職の本当の理由であっても、退職願にその内容を詳細に記載することは一般的に推奨されません。

理由は主に2つです。

  1. 退職後に法的措置(損害賠償請求など)を検討する場合、退職願に「自己都合」と書いてしまうと交渉上の立場が弱くなる可能性があります。
  2. ハラスメントの事実認定はハローワークや労働局への申告と合わせて行うのが有効で、退職願への記載は必須ではありません。

▶ 文例⑦:ハラスメントが背景にある場合(退職願への記載例)

「このたび、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」
(退職願はシンプルに。別途、労働局への申告・弁護士への相談を検討)

重要:ハラスメントを理由に退職する場合、状況によっては「特定理由離職者」として雇用保険の給付制限なしに失業給付を受けられる可能性があります。ハローワークや労働局(総合労働相談コーナー)への相談を並行して行うことをお勧めします。

⑤ 給与・待遇への不満が本音のとき

これも退職願には本音を書かないほうが得策です。「一身上の都合」に包括して、転職理由として面接で正直に話す方が適切です。

▶ 文例⑧:待遇・環境に関する不満が本音の場合

「このたび、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。在職中は大変お世話になりました。」

⑥ 副業・フリーランス独立が理由のとき

近年、副業から本業への移行や、フリーランスとして独立するために退職するケースが増えています。会社によっては副業を禁止している場合もあるため、退職願には具体的な内容を書かないほうが無難です。

▶ 文例⑨:フリーランス独立・起業の場合

「このたび、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」

▶ 文例⑩:「自己都合」であることを明確にしたい場合

「このたび、自己の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、誠に勝手ながらお願い申し上げます。在職中は大変お世話になりました。」

※ 「副業をしていた」「競合サービスを立ち上げる」といった事実が記載されると、競業避止義務や情報漏洩の問題に発展する可能性があります。退職後の活動内容は書かないのが原則です。

⑦ 在職期間が短い・試用期間中のとき

入社して間もなく退職を決意した場合、「早期離職」に引け目を感じる方もいますが、退職願の書き方は他のケースと変わりません。理由を詳しく書く必要はなく、「一身上の都合」で十分です。

▶ 文例⑪:試用期間中・短期在職の場合

「このたび、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。短い期間ではございましたが、大変お世話になりました。」

試用期間中の退職について:試用期間中であっても、正式採用後と同様に退職の申し出から2週間で退職できます(民法第627条)。ただし、就業規則に別途定めがある場合は確認が必要です。試用期間中に即日退職を求める場合は、会社との合意が前提となります。

⑧ 妊娠・出産・育児が理由のとき

妊娠・育児を機に退職を選択するケースです。育児休業取得後の退職(いわゆる「育休退職」)も含まれます。会社側が最も理解を示しやすい理由の一つですが、退職時期と育児休業給付金の関係には注意が必要です。

▶ 文例⑫:妊娠・出産・育児を理由に退職する場合

「このたび、出産・育児に専念するため、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」

育休中に退職する場合の注意点:育児休業給付金は、育児休業中に退職が確定した時点で支給が停止されます。育休給付を受け取りながら退職のタイミングを図る場合は、社会保険労務士や会社の人事担当に事前確認することをお勧めします。

⑨ 会社都合(リストラ・事業縮小)が実態のとき

会社から「退職を促された」「希望退職を募られた」場合、実態は会社都合退職に該当します。この場合、「一身上の都合」と書いてしまうと、雇用保険上の給付で大きく損をする可能性があります。

▶ 文例⑬:希望退職・退職勧奨に応じる場合

「このたび、貴社の希望退職制度に応募するため、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」

※「一身上の都合」とは書かないことが重要です。

注意:退職勧奨(会社から退職を促された)に応じる場合も、実質的には会社都合退職です。「一身上の都合で辞めてくれ」と言われても、その指示に従う必要はありません。離職票の退職理由が「会社都合」になるよう、会社と確認してから書類に署名・捺印しましょう。

⑩ メールやLINEで退職を伝えざるを得ないとき

精神的な体調不良や職場環境の問題で、対面や電話が難しいケースもあります。退職の意思表示はメール・LINEでも法的には有効ですが、退職願(書面)は別途郵送するのが原則です。

▶ 文例⑭:退職の意思をメールで先に伝える場合の文面

件名:退職のご相談について(氏名)

〇〇様

突然のご連絡をお許しください。〇〇(氏名)です。

このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職させていただきたく、ご連絡申し上げます。

別途、退職願を書面にてお送りする予定です。詳細についてはご相談の機会をいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

※ メール・LINEでの退職申告後は、必ず書面(退職願または退職届)を郵送で送ることを忘れずに。内容証明郵便を使うと、到達日時の証明になります。


退職願の書き方|フォーマットの基本

文例の前に、退職願そのものの基本フォーマットも確認しておきましょう。

退職願のフォーマット見本
退職願の基本フォーマット
項目 内容・注意点
用紙 白い便箋(B5またはA4)。横書きでも縦書きでも可。会社から様式が指定されている場合はそちらに従う
タイトル 「退職願」(退職を会社にお願いする文書)または「退職届」(退職を通告する文書)。一般的には退職願が先。
退職日 「令和〇年〇月〇日をもって」と明記。会社と合意した日付を記載
理由欄 「一身上の都合により」が基本。詳細は口頭で補完すれば十分
宛名 「〇〇株式会社 代表取締役社長 〇〇〇〇 殿」(役職と名前)
署名・日付 自筆で記名・捺印(シャチハタ不可の会社もあります)。日付は提出日

退職願と退職届の違い:退職願は会社が受理を拒否できる余地があるのに対し、退職届は一方的な退職の意思表示です。民法上、退職届を提出してから2週間で雇用契約は終了します(正社員・期間の定めなし契約の場合)。引き止められて困っている場合は、退職願ではなく退職届として提出することが有効な場合もあります。


退職理由を書くときの3つの注意点

① 感情的な言葉は使わない

「上司のパワハラに耐えられなくなったため」「会社の体質に失望したため」といった感情的な表現は、退職願には不向きです。法的な問題がないとしても、在職残余期間の関係悪化につながることがあります。

感情的な不満は退職後の手続き(ハローワーク申請、労働局への相談)の場で、客観的な事実として伝えるほうが効果的です。

② 嘘の理由は書かない

例えば「家族の介護」を理由にして、実際はすぐ転職するケースは珍しくありません。ただし、虚偽の理由が後で発覚した場合、極めてまれに「詐欺的行為」として問題になるケースがあります(実際には民事上の紛争になることはほぼありません)。

何より、あとから同業界で再会する可能性もあります。「一身上の都合」という便利なフレーズを使い、細かい理由は書かないのが最も安全です。

③ 退職日は合意した日付を書く

退職願の提出前に上司・人事と退職日の合意が取れている場合は、その日付を明記します。まだ合意していない場合は、退職願提出前に口頭で確認してから記載しましょう。


引き止めにあった場合・退職を言い出せない場合の対処

退職願を提出しても、上司や会社から「もう少し待ってほしい」「君がいないと困る」「損害賠償を請求する」などと引き止められるケースがあります。

引き止めへの対処法

  • 退職日を書いた退職届を内容証明郵便で送る:民法上、退職届が会社に届いてから2週間で雇用契約は終了します。内容証明郵便なら到達証明になります。
  • ハローワーク・労働基準監督署に相談する:「退職させてもらえない」という相談は、総合労働相談コーナー(全国の労働局・労働基準監督署)で受け付けています。無料で利用できます。
  • 損害賠償は基本的に成立しない:退職によって会社に損害が出たとしても、労働者が損害賠償責任を負うことはほぼありません(最高裁の判例でも、職業選択の自由が優先される)。ただし、引き継ぎを一切せずに即日バックレた場合などは状況によって判断が分かれます。

⚠️ 「損害賠償を請求する」と言われたら

脅し文句として使われることが多く、実際に訴訟になるケースはまれです。ただし、在職中に横領・不正・機密漏洩があった場合は別問題です。不安がある場合は弁護士に相談することをお勧めします(法テラスでは無料相談が可能です)。

「自分では言い出せない」状態のとき

退職したい気持ちはあっても、

  • 上司が怖くて切り出せない
  • 過去に相談して握りつぶされた
  • 体調が悪くて連絡する気力もない
  • 連絡するたびに引き止められる

こうした状況に陥っている方は、退職代行サービスの利用という選択肢もあります。

退職代行とは、依頼者に代わって退職の意思を会社に伝えるサービスです。2026年4月時点では、運営形態によって対応できる範囲が異なります。

退職代行の運営形態の違い
運営形態によって対応できる範囲が大きく異なる
運営形態 できること 料金目安
弁護士法人 退職意思の伝達、有給交渉、残業代・退職金請求、損害賠償対応、訴訟対応 5万〜10万円程度
労働組合 退職意思の伝達、有給消化・未払い給与などの団体交渉 2万〜3万円程度
民間企業 退職意思の伝達のみ(交渉は非弁行為にあたり本来は違法) 1万〜3万円程度

民間業者を選ぶ際の注意点:民間の退職代行業者が「交渉も対応します」と謳っている場合、弁護士法違反(非弁行為)の疑いがあります。2025年10月には、一部民間業者が弁護士法違反の疑いで家宅捜索を受けた事例もありました。有給消化・未払い給与の交渉が必要なケースでは、労働組合か弁護士法人に依頼するほうが確実です。

退職代行の利用を検討している場合は、まず無料相談から始めてみるのが安心です。


退職後にやるべき手続き|完全チェックリスト

退職が決まったら、複数の手続きが同時並行で発生します。期限を過ぎると給付や補償を受けられなくなるケースもあるため、早めに把握しておきましょう。

手続き 期限・窓口 注意点
離職票の受け取り 退職後10〜14日以内に会社から郵送 届かない場合はハローワークに直接相談可。失業給付申請の必須書類
雇用保険の失業給付申請 離職票到着後すみやかに(ハローワーク) 自己都合は原則2ヶ月の給付制限あり。申請が遅れると受給期間(原則1年)を消費する
健康保険の切り替え 退職翌日から14日以内(市区町村窓口) 任意継続・国民健康保険・家族の扶養の3択。保険料を比較して選ぶ
国民年金への切り替え 退職翌日から14日以内(市区町村窓口) 収入がない・少ない場合は「免除・納付猶予制度」を申請できる
源泉徴収票の受け取り 退職後1ヶ月以内(会社に発行義務あり) 転職先での年末調整・確定申告に必要
住民税の支払い 退職後に一括請求される場合あり 最終給与から引ききれない場合は普通徴収に切り替わり、納付書が自宅に届く
確定申告 翌年2月16日〜3月15日(税務署・e-Tax) 退職年の12月31日時点で無職の場合、確定申告で所得税の還付を受けられる可能性あり
退職金の受け取り確認 就業規則・退職金規程を確認 勤続年数によって退職所得控除額が大きく異なる
有給休暇の消化確認 退職前に残日数を確認・申請 退職前の消化を会社が拒否することは原則できない(時季変更権は退職後に行使不可)
会社への返却物の確認 退職日までに完了 健康保険証・社員証・制服・PC・鍵・社用携帯など。返却漏れはトラブルの原因になる

健康保険の3択を比較する

退職後の健康保険は、状況によって最適な選択肢が異なります。以下を目安に選びましょう。

選択肢 メリット デメリット・条件
任意継続
在職中の保険をそのまま継続
保険給付の内容が変わらない。傷病手当金を受給中の場合は継続しやすい 在職中は会社が半額負担していたが退職後は全額自己負担。退職後20日以内に申請が必要
国民健康保険
市区町村の保険
前年収入が低い場合、任意継続より保険料が安くなることがある。収入減少による軽減制度あり 前年の収入に基づいて計算されるため、退職直後は保険料が高くなりやすい
家族の扶養に入る
配偶者・親の健康保険の被扶養者
保険料の自己負担ゼロ。収入がない・少ない期間に最もコストを抑えられる 年収130万円未満という収入要件がある。失業給付受給中は日額3,612円以上で扶養から外れることがある

手続きのポイント:退職後すぐに転職が決まっている場合は転職先の健康保険に加入するため、上記3択の選択は不要です。転職先の入社日が退職日の翌日から空く場合のみ、空白期間分の国民健康保険への加入手続きが必要です(さかのぼって加入できます)。

失業給付の受給期間と金額の目安

退職後にハローワークで失業給付(基本手当)を申請する場合、受給額と期間は退職理由・年齢・雇用保険の加入期間によって異なります。

退職区分 給付制限 所定給付日数(加入10年未満・30歳未満の場合)
自己都合退職 原則2ヶ月(5年以内に2回以上の場合は3ヶ月) 90日
会社都合退職 なし(翌日から受給可能) 90〜150日(加入期間・年齢で異なる)
特定理由離職者
病気・ハラスメント等
なし(ハローワーク認定が必要) 会社都合に準ずる(要件次第)

※ 受給金額は直近6ヶ月の賃金日額(上限あり)をもとに算出します。詳細はハローワークの窓口または公式サイトで試算できます。


退職願に関するよくある疑問Q&A

退職願を書く際によく寄せられる疑問をまとめました。

Q1. 退職願はパソコンで作成してもいいですか?

一般的には手書きが望ましいとされていますが、パソコンで作成しても法的に無効になることはありません。会社から「手書きで」と指定されている場合はそれに従いましょう。パソコン作成の場合でも、氏名・日付・捺印は自筆で行うのが原則です。

Q2. 退職願と退職届はどちらを出せばいいですか?

一般的な流れは、退職願(上司への相談・お願いとして提出)→ 会社が受理 → 退職届(正式な退職通告として提出)の順です。ただし、多くの会社では退職願のみで手続きが完結します。引き止めにあっている場合や、確実に退職日を確定させたい場合は、退職届(通告書)を内容証明郵便で送る方法が有効です。

Q3. 退職願の提出は何日前までに行うのが正解ですか?

法律上は「2週間前まで」(民法第627条)が原則です。ただし多くの会社の就業規則では「1ヶ月前」と定めています。就業規則の定めは法的強制力の解釈が分かれますが、引き継ぎの観点からも1ヶ月前を目安にするのがスムーズです。繁忙期を避けたり、後任育成に時間がかかる職種は2〜3ヶ月前に相談するケースもあります。

Q4. 退職願を出した後、取り消すことはできますか?

退職願(お願い形式)は、会社が受理・承認する前であれば撤回できます。ただし、退職届(一方的な通告)については、民法上は会社が承諾した後は原則として撤回できないという見解が一般的です。気持ちが変わる可能性がある場合は、退職届ではなく退職願の形式で提出しておく方が安全です。

Q5. 即日退職は本当に可能ですか?

法律上は「2週間前に申し出れば退職できる」ため、即日退職は原則として認められていません。ただし、会社との合意がある場合や、体調不良で出勤が不可能な場合(医師の診断書があると有効)、ハラスメントにより心身に支障をきたしている場合などは、実質的に即日退職が認められるケースもあります。退職代行を利用する場合も、代行業者が会社と合意を取る形で即日退職を実現するケースがほとんどです。

Q6. 退職願を受け取ってもらえない場合はどうすればいいですか?

上司が退職願の受け取りを拒否しても、法律上の退職の権利は失われません。対処法は以下の通りです。

  • 内容証明郵便で会社宛(代表者宛)に退職届を送付する(到達から2週間で退職が成立)
  • 上司の上長・人事部門に直接提出する
  • ハローワーク・労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談する
  • 退職代行サービス(労働組合または弁護士法人)に依頼する

Q7. 退職願に書く退職日は、有給消化後の日付でいいですか?

はい、有給休暇を消化してから退職する場合は、有給消化終了後の日付を退職日として記載します。たとえば、最終出勤日が3月31日で有給が10日残っている場合、退職日は4月10日になります。この場合、「令和〇年〇月10日をもって退職いたしたく」と記載します。有給消化の申請は、退職願の提出と同時に行うのが一般的です。

Q8. 退職後、会社から損害賠償を請求された事例はありますか?

通常の退職(引き継ぎを済ませ、就業規則に沿って申告した場合)で損害賠償が認められた事例は極めてまれです。ただし、以下のケースでは問題になる可能性があります。

  • 在職中に会社の機密情報・顧客リストを持ち出した場合
  • 引き継ぎを一切せず突然バックレた場合(業務上の損害が明確に発生した場合)
  • 競業避止義務に関する誓約書にサインしており、退職後すぐに競合他社に転職した場合

通常の退職であれば過度に心配する必要はありません。不安がある場合は、弁護士や法テラスに無料相談することをお勧めします。


今すぐ取るべき行動

退職願の理由について迷っている方は、まず次のステップで進めてください。

  1. 退職理由は「一身上の都合」で書く。本音を詳細に書く必要はありません。
  2. 退職日を上司・人事と口頭で合意してから、退職願に日付を記入する。
  3. 有給残日数・未払い残業代を事前に確認しておく。交渉が必要な場合は労働組合か弁護士法人に相談を。
  4. 引き止められたり、自分では言い出せない状況なら、退職代行の無料相談を活用する。

退職は労働者の権利です。理由を詳しく説明しなくても、法律上は認められています。書き方に迷いすぎて前に進めないより、シンプルな文例を使って一歩踏み出すことが大切です。

もし退職を切り出すこと自体が難しい状況であれば、一人で抱え込まずに専門窓口や退職代行に相談してみてください。

参考情報・出典

  • 民法第627条(期間の定めのない雇用の解約申入れ)
  • 厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)について」
  • 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
  • 法テラス(日本司法支援センター)公式サイト
  • 各退職代行サービス公式サイト(2026年4月時点に確認)

※本記事の法律・制度に関する情報は2026年4月時点のものです。法改正・制度変更により内容が変わる場合があります。個別の状況については、労働基準監督署・弁護士等の専門家にご相談ください。